やはり苦言を呈したい   

2006年 04月 19日

新庄選手引退というニュースが駆けめぐって一夜明けた。テレビでヒーローインタビューを生で聞いていたが、彼のことだからと一瞬真偽を推し量りかねたのは私だけではないはずだ。

新庄剛志のことを、マスコミはよく「ファンに最も愛された選手」と評している。
これは、極めて一面的な味方でしかない。
魚心あれば水心というヤツではないが、新庄がファンから深く愛される選手であった理由、
それは他ならぬ新庄自身が、誰よりもファンを愛する選手だったからである。

タイガースから大リーグと花形の道を歩んだ後で彼は、当時お世辞にも人気球団とは
言えなかった日本ハムに入団。彼の一挙手一投足に道産子は熱狂した。
もちろん彼自身の好成績もあってこそながら、札幌移転とも相まってファイターズが
大いに盛り上がったのは、我々野球ファンの記憶にも新しいところだ。
人気もなく目立たなかった球団の色を、彼は明らかにガラリと変えてくれた。



そして忘れもしない、オールスターゲームでのヒーローインタビュー。
ホームスチールを決めてお立ち台に上がった新庄選手は、いつも通り軽快にファンへ
メッセージを送った後、力を込めて「これからは、パ・リーグです!」と叫んだ。

こんな言葉は、ただの目立ちたがり屋には絶対に出てくる台詞ではないだろう。
新庄剛志という男が、本当にファンのことをいつでも考えている選手なんだなと、
あの時身震いしながら感じたのを私は覚えている。
あの一言がポンと言える選手が同じリーグにいたことが、誇りに思えたとさえ言える。
西武ファンとして、パリーグファンとして、心から新庄に感謝した日だった。



だがそれだけに、今回の引退劇は少し疑問を感じずにはいられない。
ボロボロになるまでやりたくない、それは野球人として一つ確かな感覚だろう。
でも、それならそれでこの早すぎる発表は、もう少し「やりよう」があったのではないかという
疑問がどうしても拭えない。
ファンを喜ばせることをいつでも考えてくれていた筈の選手が、自分の引退さえ
ここまでショーのように劇的な形で見せる必要があっただろうか。
自分を応援してくれているファンがいることを知っている彼が、ともすればチーム無視の
独り善がりとさえとられかねないこんな形を取るなんて……と、私は少し残念でならない。

本人にその気がなくても、中にはやはり「裏切られた」と感じるファンも少なくないはずだ。
新庄剛志には、最後まで出来る限り沢山のファンに愛される選手で居て欲しかった。



有り余るスター性とショーマンシップ、そして野球センスを兼ね備えた彼なら、
野球界でもそれ以外でも、また沢山の人に愛されるようになるだろう。
それだけに今回の引退劇は疑問だが、それもまた宇宙人のように捉え所がなかった彼の、
まあ彼らしい幕引きであったとも、言えるのかもしれない。
魅せることに徹してくれたという意味で、彼は紛う事なき本物の「プロ」であったと言えよう。
北海道に、パリーグに、そして野球界全体に確かなモノを残した、素晴らしいスターである。
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by taoyao | 2006-04-19 17:14 | ニュース

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